「私たちはあの日から正直何もかわってません」
東日本大震災から半年が経とうという時にお子さんを失われた被災地の遺族の方に言われた言葉が忘れられません。
3月11日に日本を襲った大震災から今日で一年。直後の大混乱から比べたら確実にもとの生活に戻ってきているし、被災地の道路や建物の状況もよくなっていると思います。
そしてそれと同時に被災地の人びとの心も前向きに前にいい方に進んでいるんだと思ってました。
でもきっとそれはそんな簡単な問題じゃなく当事者以外の者の希望でしかないんじゃないかと、半年前、その言葉を聞いて感じました。
もちろん、実際お会いした方で「前向きに考えてます」「前を見て頑張りたいと思います」と言って下さった方もいます。
だけど前を向きたくても、向き合いたくても、出来ないかたも沢山いらっしゃる。
人の心の痛みは分け合うとはいうけど結局一番痛いのはその人自身なんじゃないのか、
だとしたらまわりの人間は何が出来るんだろうか、考えるより行動した方がいいんじゃないか、
私には何が出来るんだろうか。
その遺族の方は、その言葉のあとこういうお話もされました。
「今だにイッテQを見る事が出来ません、子どもが大好きでいつも見てたんですが、あの震災以来は思い出すのが怖くて一度も見てません」
正直言葉が出ませんでした。
どういう言葉を返したら良いのか分かりませんでした。
それから今日までの半年間はあのお父さんとお母さんの言葉と顔がロケ中も思い出され、いつかまた見てほしいし、また見て笑ってほしい一心で、馬鹿みたいな事を真剣にやってきました。
時には熊と絡み、時には火だるまのままバンジーしたり、時には7000メートルの山を登ったり。
実際、あれから番組を珍獣ハンターを見てもらえたかは分かりません。
けどやっぱりそれが私の仕事だし、たまたまチャンネル変えた時そういう姿を見て、馬鹿だなぁ、頑張ってんな、こいつ何やってんのって思ってもらえる事が今の私にできることかなと。
あの時は上手く言葉に出来ませんでしたが、その行動で返したいと思います。
そしてこの一年も半分以上海外で過ごして感じた、世界各国の皆さんの優しさ、日本に対する敬意。
「日本頑張れ」「日本最高」「私、東北住んでました」
世界中の方が支えよう、背中を推そうとしてくれてました。
もちろん道路や建物のようには人の心は立て直すことは出来ません。
一度傷ついた心はなかなかもとには戻りません。
でもそれでも立って生きているのが人で人間力だと思います。
日本には被災地には、その人間力を持った方が沢山いらっしゃる。
今日はその方たちに敬意をはらい、また震災で失われた多くの尊い命を思いながら過ごす3月11日です。
写真はこの前伺った山元町山下中学校の卒業を控えた三年生と。
避難所では積極的に動いてくれ卒業を前に何か感謝のサプライズはできないかという校長先生の提案で私となちゅで行かせてもらう事に。少しでも中学校生活の思い出になってたらいいな。
改めて卒業本当におめでとうございます!