見終わってすっきり壮快どころか、どうしてくれるんですかと言いたいくらい引きずりそうな作品だった。
そして、作・演出の本谷有希子さんにもたっぷりはまってしまったのだ。
物語の舞台はとある中学校。一人の生徒の自殺未遂をきっかけに、教師と親が自殺の原因をめぐり責任転嫁を繰り広げる。そして辿っていくと、そこには、びっくりするくらいの性悪女がいた。
この性悪女のことを最初は最低だ!ありえない!と人ごとというか客観的に見ていた。
この性悪女ってのは自分のことが大好きで、人を庇うふりをして実は人を陥れたり、それはもう最低な人間だった。
過去の自分にはトラウマががあることを全ての理由にしての悪行三昧。
もちろん、コメディー要素もたくさんあり、腹抱えて笑いまくった。
でもだんだんと物語が進むにつれ、その性悪女が人ことではなくなってきた。
あれ?もしかして実は私にもかぶる所あるんじゃないかと。
性悪女にある教師が言った
「普通ね、原因があって結果なんですよ!結果があって原因じゃないんですよ!あなた自分が矛盾してることに気付かないんですか?」
この台詞が頭をぐるんぐるんと・・・・
確かに・・・・
矛盾してるぜ。
でもあたすもそうかも・・・・・
何か嫌なことや失敗したとき原因を無理くり作ってはそのせいにしてしまうことある。
しかも、自分の能力とかではなく不可抗力でしかたなっかったって言われるやつ。
だから、その原因・トラウマが奪われると急に不安になってしまうかもだ。
そういうことを思うとこの性悪女は自分の中にもいるわって。
そう思うとゾッとしてきた。
最後、唯一の支えであった原因・トラウマを奪われ黙って沈黙し一点を見つめる性悪女。
完全に名前の通り、人生に遭難していました。
私も一度北極で遭難しかけたことがあるが、ある意味そこで遭難するよりずっとずっと怖かった。