「今年のイッテQ登山部エベレストチャレンジはここで終わりです」
そうディレクターの石崎さんが発表したとき一体この人はまじめな顔をして何を言っているんだろうと理解出来なかったのを覚えています。
私にとってエベレスト挑戦はこの約5年間登山ド素人なりに、たくさんの方にサポートしてもらい色んな山に登ってきたものの集大成。
5年前、アフリカ最高峰キリマンジャロに登頂したとき、冗談でいつかはエベレストと言ったあの冗談がまさか5年後に本当になるとは思いもしなかったんです。
エベレストは私の中では冗談のはずでした。
きっと周りも冗談だったと思います。
けど、冗談も言い続けければいつの間にか知らぬ間に本当になっていて、そのうち段々、冗談が夢になってました。
今年2014年、私はエベレストの頂上に立つんだという覚悟は出来てました。
そのために色々なトレーニングや調整を行い覚悟を深めていきました。
その覚悟は日に日に深まり確信に近いものになってたような気がします。
私は大丈夫、今年いける、イッテQ登山部でエベレスト登る、皆も何処かそう感じていたと思います。
しかし実際エベレストはそんなに甘いもんじゃありませんでした。
順応のためのメラピークという山のベースに着いた時、エベレストのアイスフォールが崩れ沢山のシェルパさんが亡くなったと聞きました。
正直、ネット環境も良好とは言えず日本より情報も遅いし何が正しいのかも分からず現場は混乱してたように見えました。
ただ、確実な事はこれから自分達が行くエベレストで、しかも絶対に通る場所で何人ものシェルパさんが命を落としたということ。
こういう時、山男たちは淡々と情報を言います、信じられないくらい淡々と、冷たいようにも思えるほど。
けどそれは違って数々のとんでもない修羅場を乗り越えてきたからこその淡々なんだなと。
だけれど、こういう事が初めての私は淡々と受け止めることは無理でした。
怖かったです。
エベレストに限らず、山という場所は危険がたくさんで時には命を落とすこともある。
そんなことは初めから行く前から分かっていたつもりでした。
今回の事でそれが完全につもりだったことに気付かされました。
ただ、我々に同行してくださるシェルパさん達は志気が高く事故を聞いた後も登頂チャレンジは出来ると前向きに言ってくれてました。
だからこそ、我々も今目の前のことを一つ一つクリアして行こうとメラピーク6400mに登頂、順応することを目標に頑張っていました。
メラピーク登頂、順応を終え、さあ次はいよいよエベレストだ!という矢先の
「今年のイッテQ登山部エベレストチャレンジはここで終わりです」
信じられないくらい悔しくて涙が止まりませんでした。
けど、心から信頼している山岳ガイドの角谷さんがおっしゃった
「とりあえずホッとしていいんやで」
という言葉に心の何処かにこの結果にホッとしている自分がいてそれに気付いて、しかもそれはこうやって沢山の方にサポートしてもらい応援してもらってるからにはホッとしていけないんだと思っていた分、この言葉には本当に助けられました。
来年またエベレストチャレンジしたいと思います!
と言葉では簡単に言えるかもしれないけど、正直まだ分かりません。
けど、このままで終われない性格なのは自分が1番分かっていて、心のどこかではそれはもう決まっていて、けどまだ踏ん切りつかなくて言葉には出来なくてウジウジしてます。
私は正直山や登山自体にそこまで取り憑かれているわけではありません。
けど山が大好きなおじさん達が大好きです。
ひょんな事から登山部に入ることになった登山ド素人のスタッフさん達が大好きです。
本当に誠心誠意サポートしてくださるシェルパさんたちが大好きです。
この方達とお仕事できる場所が山なんです。
だからなんだかんだ文句もいいながら登ってるのかもしれません。
なのでここでこんなに大好きな方と解散するのは嫌なんです。
そして山は何より自分自身を毎回成長させてくれる場所なんです。
私の登山は決して1人では出来ないもので、現場でも日本でも沢山の方に支えられています。
ガイドさんがいなければ、スタッフさんがいなければ、日本で応援して下さる方がいなければ、シェルパさんがいなければ、家族がいなければ絶対に登れません。
まだどうなるかは分かりませんが、とりあえず一回ホッとしてだらっとして本業の珍獣ハントして自分に正直にどうしたいか問うてちゃんとした答え出したいと思います。
有難いことに登山部のおじさん達は待ってくれると言ってくれてます。
最後にブログやTwitterに沢山の応援コメント頂き本当にありがとうございました!
改めて沢山の方に支えられているのだなぁと感じております。
そして今回の事故で亡くなられたシェルパの皆さんの御冥福を心よりお祈りします。
イッテQ登山部、平部員イモトアヤコ。
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